「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」を観てきました

久々の更新です。表題の通り、魔法少女まどか☆マギカの完全新作映画である「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語」(以後本作と表記) を観てきました。 このエントリにはネタバレが多大に含まれますので、本作を未見の方は十分ご注意下さい。

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以前、「劇場版「魔法少女まどか☆マギカ [後編] 永遠の物語」を観てきました」というエントリで、

ほむらが最後に魔獣と戦っていたシーンの続きなのか、途中なのか、「魔法少女まどか☆マギカ」という作品がきれいに終わっているだけに、どう続けるのか、もしくは割り込むのか、若干心配ではあるのですが

と書いていたのですが、新編映画について、オリジナル TV シリーズやそれを再構成した前作の前後編 (以後前作と表記) とはややテーマが違うと言う点で、観ている人によっては大きく評価が分かれそうです。(私個人の感想は最後に記載します)

いきなりネタバレですが、本作は暁美ほむらのお話で、その大半は彼女の内面世界を舞台にしています。夢の中のお話と言っても良いです。だから、魔法少女 4 人も生きている上、みんな仲が良いし、もちろんまどかとの関係も良好で、ある彼女の願望をそのまま投影した世界観になっています。

佐倉杏子と美樹さやかとの仲の良いシーンや、巴マミの決め台詞など、割と安定した、おそらく彼女の望んでいた世界なんでしょう。ただ、魔法少女 5 人がそろったときの決め台詞、謎の山手線ゲーム風のナイトメア退治、巴マミがシャルロッテもとい「ベベ」を飼っているあたりはちょっとやり過ぎな気はしましたし、間延び過ぎな感はありました。そうですね、前作の巴マミが死亡する直前のちょっと違うバージョンの世界が表現されていて、いわゆる導入部分という感じです。

このあたり、観客に対して制作側の「こう言うシーンを観たかったのだろ ?」というメッセージを感じましたし、全般的にどこで何をやっているのかがわかりにくく、ちょっと間延びしている感はありました。

しかし、都合の良い世界、と言うのはどうしても不審な点が出てしまうわけで、夢を見ている暁美ほむら自身が自らの世界に疑念を感じます。

例えば、魔法少女全員の記憶が実は曖昧であること、それ以外の周りの人間も何かおかしいこと、決定的には見滝原からどうやっても出ることが出来ないこと。

そうして彼女は、この世界が自分の内面世界であることや、それを引き起こしたのはインキュベーターで、彼らの策略に引っかかっていることに気がつきます。

ところで、このあたりから暁美ほむらの行動に一貫性が無くなって行きます。

最初のうちは、インキュベータに円環の理を分析させないよう、彼女が魔女化してもまどかに気付かれないよう、インキュベーターが仕掛けた遮断フィールド内で彼女は魔女化するのですが (当然、この状態ではまどかは助けに来ない) このときは、彼女はまどかの救済を拒むのですよね。

しかし、他の魔法少女により、フィールド外で魔女化状態を顕在化させ、実際に円環の理によりまどかが救済に来たところで、何を思ったのかまどかの一部を自分自身に取り込み、宇宙を再編してしまうという暴挙に出てしまいます。

この部分が、なぜ彼女がそうしたのかがわからないのですよ。

最初から、彼女はそうなるよう仕組んでいたのか、それともあれは魔女で、結果そうしたのか。

少女が持っている陰湿なずるさ等の負の部分を表現しているのかもしれないですが、なんだかしっくり来ないです。

あとは、本作を観ていただければわかるとおりの展開であり、彼女の行動によって、他の魔法少女の記憶まで改ざんしてしまう等、完璧な「バッドエンド」であったと思います。

美樹さやかや佐倉杏子、巴マミ達は、あの世界で自分の存在がどんなものだったのか、思い出せずに「日常」を繰り広げるのかと思うと率直に怖いとしか表現できません。

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そもそも、私が「魔法少女まどか☆マギカ」という作品のどこに惹かれたのかと言えば、「よかれと思って行動すると大抵裏目に出てどうしようも無い、絶望とほんのちょっとの希望の物語」であり、前作の方が、このようなところが各キャラクタの心象描写もきっちり行われており、こう言ったところから、個人的に感情移入しやすかった事が大きかったのだと思います。

前作においての美樹さやかの魔女化シーンは、彼女の正義感故の魔女化で有り、邪悪な感じは一切しないどころか、まさに無垢故の、もう疲れてしまった、悟りの境地に達した、という言葉で表現できそうな、破滅の美学とも言うものが感じられました。

しかし、本作で暁美ほむらがまさに現実世界において魔女化からの救済のシーンにおいては、単に「まどかを独占したい」という強い邪念があり、果てはこの邪念をベースに宇宙が再構成されるなどと言う、恐ろしい展開になっています。

ゆえに、個人的には、そういう意味でのスッキリ感は全くなく、どんよりした気分にさせてくれます。

そう言うどんより感も嫌いじゃ無いのですが、暁美ほむらの葛藤をしっかり描くとか、もうストーリー的に少し計算し尽くされた部分があればさらに面白かったのにな、とは思いました。

通しで 1 回り観ただけで、記憶をたどってこれを書いているわけですが、前半部分はなんというか突然バトルをしたり、散漫な感じでした。作画などは良かったのですが、そこで大立ち回りをする必要も無いような気もしましたし、暁美ほむらが自らの頭に銃口を突きつけて引き金を引くシーンは、一体何だったのだろうか・・・。

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最後に、本作においてもテーマはやっぱり絶望なんだとは思いますが、前作が「純粋な絶望」とするなら、本作は「汚れた絶望」または「悪」、と表現し得るかと思います。また、それを背負う役割が暁美ほむらであるのは何とも言えないです。

「叛逆」ってまどかにだったのね・・・。

・追記 (2013/11/04)

再度観てきました